Webサイトにおける直帰率と離脱率の考え方と改善方法
公開日:2020年11月9日
Webサイトの改善指標としてよく出てくる直帰率と離脱率。それぞれの違いと、アクセス解析での考え方や使い方をまとめました。
直帰率と離脱率、違いは?
サイトのデータにおいて、直帰率は「そのページ・サイトに訪問したユーザーが1ページだけ見て離脱した割合」で、離脱率は「そのページで離脱した割合」で、似ていますが性質の異なるものです。
意味 | 対象 | 計算 | PV数 | |
---|---|---|---|---|
直帰率 | 1ページだけで離脱した割合 | ページ・サイト | 直帰数/セッション数 | 1PV |
離脱率 | そのページで離脱した割合 | ページ | 離脱数/そのページのPV | 1PV以上 |
直帰率の考え方
直帰率の平均はどれくらい?
一般的なWebサイトにおける直帰率の平均は40%ほどと言われていますが、これは「平均よりも高いから悪い、低いから良い」という類の数字ではありません。ただの統計上の数字です。
そもそも平均値なので「直帰率が10%のサイトもあれば直帰率70%のサイトもある(平均は40%)」というだけの数字なので、サイトの改善指標としては意味がありません。
もし、自身のサイトの直帰率が「(高い・低いではなく)良いのか・悪いのか」を知りたいのであれば、Similarwebなどのサイト分析ツールで、同業の競合サイトの直帰率を調べて「(平均ではなく)中央値」を計算して、自サイトがどれくらい離れているのかを調べると良いでしょう。
良い直帰と悪い直帰率とは?
一般的に、サイトの指標として見られるのが直帰率で、「直帰率が高いから改善しよう」「直帰率が高いからSEOに悪影響だ」と言われますが、これはあまり正しくありません。
直帰には二つのパターンがあります。「ユーザーがコンテンツに満足して離脱する」パターンと「目的の情報がなかったから離脱する」パターンです。言うまでもなく、ユーザーにもサイトにとってよくないのは後者です。
この良い悪いは数字では推し量れない部分なので、実際にユーザーの声を聞いたり、ABテストで反応を比較したりして、「良い直帰か悪い直帰か」を判定するための作業が必要です。
直帰率は変えることができる
検索では、ある1つのキーワードを調べている時に知りたいことは1つとは限りません。
例えば、「直帰率」について調べていたとして、
- 直帰率の単語の意味を知りたい
- 直帰率の調べ方を知りたい
- 直帰率の改善方法を知りたい
という具合に、ユーザーのニーズは変化していきます。
これらを網羅した1ページにランディングすれば直帰率は高くなります。ユーザーの満足度は高いため良い直帰です。
一方で、ユーザーにサイト内で周回してもらいたいなら、あえて別のコンテンツに分ければ直帰率は下がります。ニュースサイトなどにある「長いページを分割する手法」はこれと同じです。
どちらが良いかはコンテンツやサイト運営者のセンスですので、サイトのアクセス解析を見ながらABテストで改善するのが良いでしょう。
直帰率の改善はSEOにプラスになるのか?
これに関しては、かつてから言われていることですが、Googleが検索順位を決定するアルゴリズムに直帰率は含まれていないようです。
例えば、広告主への送客がメインとなるアフィリエイトサイトでは直帰率が高くなりがちですが、コンテンツが充実していれば直帰が高くても、アフィリエイトでもSEOには悪影響はしません。
そもそも1ページを数ページに分割すれば1コンテンツで直帰率は意図的に下げられるため、SEO指標にしないのも納得です。
ブランディングやリンク共有では直帰率の改善が重要
ただし、SEOのアルゴリズムには関係ありませんが、リンクという観点で見ると、サイト内を巡回してもらった方がサイトをお気に入りにしてもらったり、リンクをSNSなどで共有してもらえる可能性は当然高くなります。
その意味では、「直帰率はマイナスにはならないが、低い方がコンテンツの共有やブランディングにはプラス」と言えます。
離脱率の考え方
直帰率よりも使いにくい離脱率
「そのページだけで帰ってしまった」というわかりやすい指標である直帰率に比べて、ちょっとふわっとしているのが離脱率です。
直帰率の場合は、ユーザーが閲覧したページが1ページだけなので、直帰が発生しているページだけにフォーカスして対策ができますが、離脱率の場合は、ユーザーがどのような経路でサイト内を周回して最終的に離脱したのかを推定して良し悪しを判断しなくてはなりません。
離脱した理由も、「満足したからなのか」「単純に閲覧する環境ではなくなっただけ(仕事に戻る、電車から降りるなど)」なのかもわからないのです。
その意味では離脱率は「ユーザーの動作が明確に想定できるケース」で使うべきでしょう。
離脱率を使うなら「ルートが決まっているページ」がわかりやすい
「ユーザーの動作が明確に想定できるケース」で離脱率を使う例でわかりやすいのが ECサイトの「カート」です。
ECサイトのカートは、
- ログイン
- お届け先入力
- 決済方法選択
- 注文確定
という誰もがたどる同じルートが確定しているため、離脱率を使うのに有用です。
例えば、お届け先入力での離脱率が高いのであればフォームの改修必要ですし、決済方法選択での離脱が多いのであれば、ユーザーが求める決済方法がないのかもしれませんし、単純に手元にクレジットカードがなかっただけなのかもしれません。
このように、ルートが決まっているケースでは離脱率を使うことで、悪い離脱を推定できます。
Webサイトにおける直帰率と離脱率の考え方を見てきました。
同じような単語ですが、意味も使い方、データの分析方法も全く異なることがわかります。同時に、どちらもサイトの状態を知る上で重要な指標であることには間違いがないので、しっかりと意味を理解してサイトの改善に繋げましょう。